祖母と外食した。
店内に入ると、祖母は
出迎えてくれたお店のスタッフさん達に
深々と頭を下げて、
「どうぞよろしくお願いします。」
と言った。
私はもう既にサービス業にいたので、
お客さんである祖母が、
お店の人より深く頭を下げるのは、
ちょっと変に感じた。
祖母に聞いてみたら、、、
「たとえ一食でも、
お世話になる方達よ。
どんなに頭を下げても、足りません。」
でも、お金を払うよ?
「お金は別。心よ。」
そう言って祖母は、
ふふふ。と笑った。
いつか私にも分かる日が来るのだろう、
と、分かっていたような笑い方だった。
祖母が残してくれた庭には、
今年も梅が愛らしく咲いた。
祖母がなぜ、深々と頭を下げたのか。
なぜその時に、ふふふ。と笑ったのか。
今は全部分かる。
もし今、祖母と話が出来るなら、、、
祖母はまた、
ふふふ。
と、笑うと思う。